主観視点のビックリホラーADV。
主人公は何かの理由で気が触れた画家。屋敷を歩き回りイベントフラグとなるアイテムを見つけ、真っ白なキャンバスに使用して何かしらの絵を完成させ物語を紡ぐ。旧『バイオハザード』の洋館のようなお化け屋敷を主観視点で探索していくホラーADV。お化け屋敷のアトラクション
気配を感じて振り返るとそこには…というネタの多いドッキリ系ホラー。鍵が掛かっているからと引き返してみたら建物の構造が一変していたり、物音がする方向を向いてみたけど何もおらず、安心して前を向きなおったら何かがいたり。
主観視点を活用したホラー演出のそれらは音と何かの典型的なビックリ系がほとんどだけど、主観視点なだけに画面を隅々まで見て探索をするから、一度でも不意に出てきた何かを目の当たりにしてしまうと、それによって植え付けられた恐怖が後の行動ひとつひとつを煽り立て付きまとう不安に足が鈍る。
ゲーム性質上プレイ中は視線を休ませる状況にはなれないから不自然な行き止まりや鍵の掛かったドアにぶち当たったりすると動くのが嫌になるほど雰囲気にドップリ。
「かゆい うま」のような手紙や写真を見つけるたびに主人公に何があったかを補完していく手法でジワジワ引き込み、頻繁に屋敷の構造を変えて同じところを何度も往復させたり迷わせる白けた徒労を省いた配慮もあり、おっかなびっくりで歩を進める雰囲気や焦燥感は常に維持され、後ろから得体の知れないモノが迫ってきているのではないかという被害妄想に陥ってしまうほど浸れる。ゲームとしての途切れないテンポ、ホラーとしての恐怖の維持、このバランス構成はよくできている。
問題点はマルチED仕様なのでシナリオをキチンと理解しようと思えば探索で取りこぼしを防がなければならず緊張感が薄れること。
建物内の構造を強引に変化させる枝葉のない一本道なのだから、情報通りになぞるだけの煩わしい探索を排除した単純なファンタジーお化け屋敷だけでよかった。シナリオの補完は移動中に喋らせたり合間にそれとなく入れてしまえばいい。ただでさえ精神に異常をきたした人が主人公で基本が支離滅裂なのだから、筋道が曖昧だと余計に分かりにくさに拍車をかける。
ビックリネタは一度見てしまえばそれで終わりだからクリア後にネタバレを見て収集をしようとは思えない。画面が暗くて何も見えずゲームにならない場所があることや、戸棚や引出しなどを調べる際の距離間の調整が曖昧といった細かな操作性も難あり。マイナス要素が魅力を落とし終わってみればB級。
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