人物の掘り下げ描写の段階を踏む様が良い。
帝都を悪の脅威から守護する帝国華撃団の隊長として、世を忍ぶ仮の姿である帝国劇場で隊員たちと共同生活をしながら親交を深めるADV。イベント内容が同じセリフを言わないユニークなものばかりなので、一緒に過ごすにつれて人物像を感じ取り自然と愛着がわいてくる様を味わえる。イベント数・テキスト量も大小数が多く、シナリオ上で空気になる没個性も居ないので、特定個人でなく劇場全体の空気にも気持ちよく浸れる。キャラクター性を重要視するRPG要素のあるゲームはこれが大事。寮での共同生活で毎日顔を合わせるのにも関わらず、長い間セリフが変わらないため人物像が印象に残らず話しかけることすら億劫になるゲームが多い中、『サクラ大戦』のキャラクターは常に新しいリアクションを返してくれるので、話をしてみたい聞いてみたい、その思いがくすぐられて魅入られる(狙いすぎてるのもいるけど)。今まで遊んだゲームの中でも屈指のデキ。キャラクター以外は蛇足
戦闘には経験値やお金などの概念はなく、シナリオ上の演出と好感度操作のための意味しかもたない。育成や装備変更で段階を踏んで成長していく要素は無く、周回時にスキップすることもできないためかなり厄介な存在になっている。シナリオも序盤の勧善懲悪はまだしも終盤の超展開は恥ずかしさすら覚えた。特に『1』の終盤はとてつもない超展開となり、合体技とは一線を画す恥ずかしさが全身を襲い寒気と鳥肌に支配され、気づけば人生で初めて読むのが恥ずかしくなりテキストスキップをしていたほど。スキップできない不毛な戦闘に恥ずかしいシナリオ。まさに蛇足。劇場内の自由行動時も誰がどこにいるのか程度の情報は表示するべきだった。行動回数に制限が設けられていたり特定の場所での強制進行があるため、下手に動き回るとイベントを逃してしまいせっかくの掘り下げが弱まり没入を妨げてしまう。かといって攻略情報を片手になぞるだけだと「XXに会いたい」というプレイヤーの意思を汲まない流れ作業となりこれまた感情移入を妨げてしまう。ゲーム的にもプレイヤーの意思で動けるようある程度の情報の表示は必要だった。
愛や絆による奇跡展開にテンポが悪く育成の要素もなければ難易度もあってない程度の蛇足戦闘など、この辺りは褒められたものではないけど、人物像を描く過程の描写やイベントは抜群で、続編である『2』の序盤て最初に仲間と再開した時にはゲームながらワクワク感が得られた。ゲームにキャラクターの要素を重要視する人は遊ぶべき。
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