【RPG】シャイニングハーツ【一歩で敵が出る】

★★ PlayStation Store RPG


前時代的RPG。

戦闘のテンポが悪ければエンカウント率も高い。今の時代に(2010のゲームだけど)一歩進めるだけで敵が出るRPGは戦慄する。それだけならまだしも、全体攻撃・補助魔法のダメージや状態変化の演出は全員分ひとりずつ丁寧に見せてくれて、リザルトの経験値獲得ゲージもひとりずつ増え、獲得アイテムやお金もひとつずつ表示され、合体技が発生したらその都度ヒロイン選択のために中断させられ、パッシブ技で体力やMP回復などが発動するとまた待たされて……、システム全般がスキップや高速化に対応しておらずイライラを誘う。このシステムでクエストや素材集めでのランダムエンカウント戦闘をやるのはさすがに辛い。ダンジョンの面倒な仕掛けをクリアするための長いマラソン中は、本当にファミコンのRPGをやらされているようだった。

パン配達にも影を落とす

戦闘が面倒だから素材集めで歩き回るのが嫌になり、必要なパン以外は焼いても意味がない底の浅さが見えるから、セーブして目的のレシピを見つけるまで繰り返し、できたらロードしてそのレシピを使う無駄遣いを省いた効率プレイになった。新しいパンを作ればまた新たな材料やレシピが手に入って何らかのイベントに繋がるとか、せっかくパンの種類が多いのだから段階を踏ませてパン焼きに広がりを感じさせる工夫が必要だったように思う。手に入らない材料を使うパンを要求されることもあるから、誰かがパン注文の吹き出しを出していると面倒を避けるため近づきたくなくなるし、敵の出るところでの素材集めや配達なんてやる気になれるわけがない。釣り場や匂いなんかの要素も同様で、面倒くさい戦闘要素や悪いテンポに常に牽制されている感覚になる。

説明が足りないシナリオ

カグヤ自身が何も喋らないから意味が分からないのに、主人公とヒロインが示し合わせたかのようにカグヤにご執心となるからプレイヤーは置いてけぼりにされ、終わってみても結局は何もわからず仕舞い。負けイベントや選択の余地のない強引な手法も目立つから、常に独りよがりの劇を見せられているような違和感があり、遊んでいても一体感が得られずゲーム世界に気持ちが近づけなかった。情と絆が生まれる過程がろくに描かれていないのに、それらを信じていればどんな困難でも乗り越えられるというシナリオは押しつけがましくて頷けない。中盤の敵のミストラルも終盤の敵も出番がなさすぎだからぽっと出のモブでしかないし、小さい島でパンの配達をしていただけなのに、突然別次元の世界だとか超展開の様相を呈すからあっけらかん。掘り下げや納得させる描写をせず大風呂敷を広げている。

行動原理がわからないキャラ

賊のモブ4人に戦わずして負けを認めたヒロインが、黒船来航ばりに島を取り囲む別次元から来た機械兵団を「やっつけちゃおう」とか言いだしたり、カグヤを守るため他人を危険にさらす作戦を立てたり、島民に手を出さないという甘言にのせられ、世界を破滅に追いやる情報を持つカグヤが自ら投降するなど、主要人物が建設的な言動のできない直情型ばかりなのもつまらなさを強調した。
主人公は意見せず服従するだけで掛け合いがないから、その場の思い付きで行動しているだけになり言動に説得力が伴わない。パンにココロを込めると何が変わるのか、どのような変化をもたらすのか、その違いを納得させる描写も足りないのに、パンを届けて私たちの気持ちを伝えようというカグヤ救出イベントは、根拠はなくとも信じていれば想いは必ず届くという押しつけで恥ずかしかった。島で生活を続けるだけのほのぼの世界なら違和感もないんだろうけど、別次元の機械兵団と生死をかけた争いをしているわけなんだし、もう少しまじめにやろうよ。

結局はパンをあげてれいれば良い好感度上げ

プレゼントなどで建前の好感度を高い値に留めておけば、本心の好感度もそれにつられて徐々に上がっていくという仕様。これでリアリティのある感情を表現しているらしいが、通常会話時のテキストパターンやイベント量を増やしてキャラクターの掘り下げをしたほうがよっぽど存在を深めるし、ゲームをプレイするに連れてキャラクターに対する愛着が積みあがっていく感覚こそがリアリティのある好感度。毎日同じことしか言わない同じところから動かないキャラには感情は見られない。キャラクター側はイベントで自分を表現すればいい。それに対してプレイヤー側が好感を持てば近づこうとするから、段階を踏み徐々に内面に踏み込んだアクションを返してくれれば、相手の好感度も数値でなく雰囲気で魅力を感じられるようになる。

3人いるヒロイン選択も、個性が描き分けられているならまだわかるが、見た目が違うだけで台詞は同じだから、島民として入れるには時間が足らず、苦肉の策として選択制を採用しただけなのではと邪推してしまう。クオンなんて何のイベントも魅力もないモブを入れるくらいなら、選択しなかった彼女たちもイベントがなくとも島民として入れておけと。エンディングを見ようと思えば同じセリフなのに再プレイを強要されるまさかの仕様を誰が喜ぶのか。
評価点である絵も特定キャラに1枚(EDで+1)だけで、イベントは各キャラ5個前後しかなく、敵の討伐や素材探しなどイベント内容の基本線は全部同じで掘り下げが明らかに足りない。NPCに至ってはイベントがないから前述のパン配達の問題もあり話しかける気すら起こらない。

様々なゲームの好いとこ取りをしようとしたのだろうが

スローライフや素材集めの調合など、人気の要素を集めていいゲームにしようとしたのだろうが、それ以前の問題が山積している。島民同士の関係性は希薄で箱庭の空気や生活感はなく、NPCはずっと同じところから動かないし、ただでさえセリフの種類が少ないのに物語の区切りまで変わらない。生きている人がいないので箱庭のスローライフをうたう方向性に内容がついていけてない。ギャルゲー要素もクラフトも(パン焼き)言わずもがな。何にしても腰を折られることなく進められるテンポは最低限ほしい。

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