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王道設定シナリオのコマンド選択RPG
- MEREMANOID 〜マーメノイド〜
- ★★
女神アフロディテが創生したという理想郷マーメノイアの在り方を描く物語は、女性種族しかいない世界や子供は泉に身を浸すだけで宿るなどの人魚らしい独自設定と、記憶喪失主人公と腐敗した王家や人の思惑を絡めた展開が特徴。
でも人魚なだけに泳いで移動する操作性は小回りが利かないからゲームとしては部分的に悪い意味で作用しているところもある。
海中を泳いで移動するシンボルエンカウント
人魚らしく優雅に泳いで移動したいのにシステムが伴わない。移動は丸ボタンを押し続けると前進して、連打すると移動速度が上がり、適当に連打で速度を上げたところでボタンを押し続けると速度が固定されるという仕組みだけど、これが言うまでもなくめんどうくさい。
二足歩行の人型と違い旋回しなければ横も向けず後退もできないから小回りが利かず、誰かに話しかけたり家に入る際のボタン認識範囲が狭いうえに正面に位置取りしなくてはならないため、話しかけるにも家に入るにも細かい微調整を要し時間を取られてイライラが募る。
その上やたらと人や見えない障害物にめり込んだり引っかかるから火に油を注ぐ。LRの旋回操作に対するカメラ移動が緩やかで直感的な操作ができないなど、操作性はかなり悪くプレイを妨げる。
呪文のような技集め戦闘
レベルアップはパラメータの上昇のみで魔法は購入して覚えていく。技は特定のコマンドを選んで攻撃していたら運で発動して覚えていく。剣なら「斬る」と「突き」が基本コマンドとしてあり、クリティカルヒットすると連続で「斬る」か「突き」がランダムに繋がっていく。
「斬り+斬り」「突き+斬り」など連続で攻撃が発動した際に技を覚えられる特定の武器を装備していれば、それらが技としてコマンド登録され「斬り刻む」や「3連続で刺す」などを覚えていける。
更にこれらのコマンドを特定の武器で使用すれば必殺技を覚えるという2段階の手間がある『ロマンシングサガ』みたいなシステム。
これが言うまでもなく楽しくない。
「突き」や「斬る」のコマンドは最大で4連鎖して、例えば「斬る+斬る+突く+斬る」がコマンド登録されると「切り刻み突斬る」となる。
主人公は剣と槍を装備できるが、武器を剣から槍に変更するとコマンドに「薙ぐ」が追加されて「薙ぎ払い斬刻む」なども出てくるし、杖の装備なら「叩く」や「突く」など、ある程度覚えていくとコマンド欄が呪文じみたものに支配されて判別しづらい事この上ない。
単なる稼ぎでなく集めていく遊びがあるにはあるが、威力は変わらず見栄えが通常攻撃でしかないから覚えた嬉しさに欠くし、仲間内で共有できないから全員覚えさせるのが面倒くさいのもダメ。
覚えられる必殺技は武器依存で魔法は買えば誰でも同じものを覚えられるなど、レベルアップ時のパラメータ上昇率や装備できる武器の種類程度でしかキャラが差別化されていないこともあり育成が単調。結果おもしろくない。
- 行動の優先順位の要素は中途半端
- 「斬る」や「突く」などの通常攻撃、魔法や必殺技には行動の優先順位が決められているので、うまいことやれば必殺技で消耗したHPを即座に魔法で回復出来たりもするが、必殺技は即座に発動するのに対して魔法はランクにより詠唱時間が変動するため、選択したコマンドによる行動順の変動を示してくれなければ活用できない。魔法と必殺技の威力に大差はなければ時間の概念とのバランスも悪いので、結局は即発動の必殺技役*2と回復役の固定が安定してしまう。個性のない単調な育成と相まって戦闘が作業感に苛まれる原因のひとつに。
設定の先行で他が付いてきていなかった
顔のグラフィックは魅力的なのが多くてもメインキャラ以外はほとんど使い回しなのでどっちらけ。会話では人魚の優雅なミュージカルのごとく派手にうごいて演劇調の台詞回しをするが、その動作もバリエーションが少なく使い回しばかりなので演出が一本調子になっていてかなり陳腐。両手を広げて一回転するか広げた手を胸の前に合わせて祈る程度。やたらと同じ動作を見せられるから「何でそこで回転する?」と思わずにいられない。
巨大戦艦が出てきたり機械工学の研究所が出たりと舞台に相反する要素もちらほら見える。それらが自然に溶け込めている世界なら気にはならないが、一般の生活様式や文明水準を見るとかなり逸脱していると言わざるを得ない。そもそも海中を移動する船の甲板に人魚が浮いてたって投げ出されるだけなのでは……。
マーメノイアのネタもキャラもよかったと思うけど、操作性の悪さや戦闘の単調さ、諸々の掘り下げ不足などで、それらを楽しめるような段階にまで行けなかった。設定の先行逃げ切り。
・テキストスキップあり
・演出スキップなし
・周回要素なし
・声なし
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