主人公に魅力のないRPG。
街の人の会話内容が場面ごとにきちんと変わり、それに対する仲間キャラの反応も用意されているので、世界の雰囲気やキャラの個性などの描写は良かったし、背景やドットに立ち絵などのグラフィック面もそれらの雰囲気によく合っている。が、それらが活かされることはなかった。キャッチコピーは「心に響かないRPGは、もういらない」。自虐ですか。主人公の影が薄く中心人物になれていない
仲間との掛け合いもほとんどない無口主人公に存在感や求心力がない。基本が無口の主人公で選択肢を選ばせるのなら、少しでもプレイヤーとの一体感や投影を誘うためであったり、選択肢による仲間の反応で個性の強調をさせるためなど、選ばせた方向に少しなりとも分岐させて然るべきなのに、YESかNOかの極端な二択しかないうえに正解を選ばないと進まないから個人の意思が見えない。
選択肢で自らの冒険を否定するようなものも出るし、ドラゴンマスターになるという目的までも本気なのかどうなのか有耶無耶にされている。
芯が貧弱すぎて主人公としての魅力が描かれていない。代弁者としてお供のナルに踏み込んだ話を喋らせるとか工夫が必要だったように思う。
けど、そもそも最初から目的を持たせた冒険で、なおかつヒロインがさらわれるという展開なのだから、自分で喋らせて行動の意思を明確にさせろと言いたい。「ヒロイン以外がどうなろうと知ったことではない!」ぐらいの気概は見せてほしい。
最後のイベントで挿入されるアニメの中だけ饒舌になる主人公のキャラ設定は、中途半端すぎて何を語っても積み上げたものがなく茶番となり、簡単に先読みできるお使いシナリオも相まって感情移入を妨げた。
薄っぺらが過ぎる愛情と友情と信じる心で奇跡を起こして全部きれいに解決のそれに面白さはない。
何してはるんですか女神さん
主人公どころか女神アルテナをはじめ重要人物の行動原理の描写すらない場合が多くシナリオに説得力がない。魔族をまるごと死地の辺境へ追いやって火種を撒いたり、世界を守護する神としての責任と義務を説明なく人間に丸投げ放棄し、その結果10年程度で世界に混沌を招くことになった女神アルテナこそが諸悪の根源にしか見えなかった。
魔族を辺境へ追いやった理由は「過去に罪を犯したから」と仄めかされるけど具体的な解説はないし、神でなく人間自身がやるべきという世界守護論に関しても何があってそんな結論に至ったのかは教えてくれない。神としての能力を手放して人間として転生したというのに第三者に復活させられあまつさえ操られる有様。何してはるんですか。
アルテナはダインと共に全国謝罪行脚をして人間さんや魔族さんに平身低頭して謝れ。
こいつらが魔法皇帝さんときちんと話し合いを持ち方向性をまとめて建設的に事を運んでいればこんな事態にはならなかったのに。アルテナや四英雄の馬鹿げた御家騒動で世界の人々は振り回され命を落としているというのに反省の色なく喋ることは詭弁ばかり。突き詰めれば見通しが甘く人の上に立つ資質のないアルテナと四英雄が悪い。
こいつらをラスボスに据えて魔族と手を取り合いアホテナと四英雄(笑)から世界を解放する話にしていれば気分よく終われたのに……と、シナリオの根幹となる重要な部分を端折りすぎで展開に合点がいかないからそう考えてしまった。
のろまな戦闘や演出がトドメ
スキップできないし読み込みも多くゲーム全般のテンポが悪い。演出の一切をスキップできない仕様、敵味方共にデタラメでお馬鹿なAI、シンボルエンカウントなのに通路が狭くて固定エンカウント化、エリアの切り替えだけで復活する雑魚敵、低い逃走確率など、やる気を削ぐ要素の多いこと多いこと。
コマンドを選んでも行動順はランダムなのでダメージ効率などを工夫することも不可能だし、育成は経験値を稼ぐレベル上げのパラメータアップだけで戦闘面に楽しさを見出せる要素がない。エンカウント無視の魔法やアイテムも当前存在しない。戦っても時間を食うし、逃げるとそれ以上になる。ひたすら面倒くさい。
さらにシステムの問題点は戦闘だけにとどまらない。街でもダンジョンでも画面切り替えの読み込み時間を誤魔化す演出のつもりだろうが、その都度発生する暗転が遅すぎて気持ちが散漫になり続ける意欲は削がれ、民家に入って話を聞いてみようという気持ちも失わせるなど、少し動かすだけでウンザリ要素が目白押しのあめあられ。続けたくなるような期待感がくすぐられず絶えずあくびが出た。イライラと眠気を誘う大作。
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