たらればゲー★
『コープスパーティ』の続編。前作の特定のエンディングから派生させた「たられば」や前日談などの短編集。一昔前のRPGのように見下ろし視点から上下左右4方向移動で探索できた前作と違い、エピソードごとに主人公が変わる主観視点のポイント&クリックADVになって心情描写が大幅に増えた点が特徴。前作ではよくわからなかったことの補完や掘り下げを期待していたが
補完もタラレバも前日談も、それら全てが薄っぺらでボリューム不足。テキストADVにシステムを変更したことで心情や状況の描写が細かくなったとはいえ、場面ごとの繋ぎは相変わらずで展開も浅くてすぐに終わるのだから引き込む力も大幅に落ちた。心霊現象や猟奇的な場面の度に「〇〇のようなXXが~」という単調な直喩が頻繁に使われる描写では想像が追いつけないし逆効果。だんだん子供の宿題作文みたいに文字数稼ぎしているのではないかとさえ思えてくる。
実際に廃校を歩いて幽霊に追われる様子や歩けば見つかる無残な死体を見下ろし視点で表現してくれていた前作の方が、想像を掻き立てて自分の頭で状況を構築できるから臨場感を得られた(これよりは)。
フラグ立ての仕掛けをいちいちテキストで説明されても前作でやってる以上どうでもいいわけで、プレイしていることを前提としているデザインなのだから余計そう思わされた。
もともとテキストのみで恐怖を与えられるデキではなかったし、クリックできる箇所が少なすぎて天神小の存在感を作り出すこともなく、それどころか適当にクリックしてしまうとゲームオーバーになる本末転倒なシステムになっている。システムの変更は大失敗。
短編集で繋がりがなく期待が生まれない
前作でネタバレしている人を楽しませるためにはエピソードごとの内容を充実させなければならないのに、前作で描かれていなかった部分の補足も折角のたられば展開も少なすぎる。読み進めると解き明かされる謎や新たな展開がないから読み進めても期待が生まれない。そしてその内容も適当に残虐的な場面を用意して声優の演技におんぶにだっこ。説明足らずで筋が通らないところは前作と同様に怪奇現象のせいにしようぜでなあなあ処理。強制足止めと選択肢をひとつにする強引な構成や、暗転の演出のみで済ませる水増しBADも相変わらず。むしろこれらは用意されている絵の少なさから劣化すら感じた。
ブロックごとに選択して移動させたって一本道のフラグ立てなのはかわらないし、アイテムや名札を拾うためには飛ばすことができないからしらみつぶし作業になるだけ。そのうえスキップも遅いときてる。
ゲームオーバー後に直前からやり直すこともできないから選択肢の度にセーブをしなければならないし、それを放棄すると同じ場面まで戻す白けた作業が入るためホラー感がしぼむ悪循環に。
謎解き要素なんてないんだから鍵の合う扉は色で表示するとか極力無駄を減らすよう配慮すべき。突然訳の分からないことを言い出す頓珍漢な精神汚染度なんて要素もいらないから、テキストADVにした以上シナリオで狂っていく様を表現すべき。
投げっぱなしの展開に説明はおざなり、手間を取る操作に恐怖や想像を掻き立てる絵もなしでどうしろと。エピソードの登場人物全員に焦点を当てた群集劇になれば広がりもあり楽しそうなのに。
まとめとしては、セーブとロードがいつでも可能になりスキップが搭載されたシステム面はまともになっていたが、そのシステムがダメだった前作の方が圧倒的に面白かった本末転倒作。
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