【ゲームアーカイブス】新聞のネタ探しで世界を掘り下げる『奏(騒)楽都市OSAKA』

★★★★★ PS1 SLG ゲームアーカイブス


新聞をつくり発行部数の売上勝負をするSLG。

  • あらすじ
    架空都市OSAKAで、文章・音声・映像の全てを交えた学生間マスコミ情報戦争が開始された。勝者には、全世界に言葉を発信できる世界最大最強出力の広告塔『BABEL』の初使用権が与えられる。
  • マスコミ情報戦争とは
    BABEL使用権を得るために設けられた情報商業戦争のことで、参加者はメンバーを集めて広報委員を作り、文章や映像など各媒体に準じたニュースをプロバイダにアップして販売する。その売り上げで誰が一番使用権を得るに相応しいかを競う。

ゲームの目的

主人公は文章部門(新聞)の広報委員のリーダーとなり、6人の仲間たちと共にBABEL争奪戦に参加する。基本的な流れは、会話パートで月曜から金曜までに新聞のネタを仕入れ、週末に記事に編集して発行すること
ネタ探しを通して独自の世界の豊富なテキスト量とイベント量でプレイヤーを飽きさせない新聞作りを楽しもう。

新聞のネタを集めて編集する繰り返し

朝~夕 夕方の広報委員活動時間になるまでの会話パート

会話パートで起こる年中行事や大阪での事件などを新聞のネタにする。
新聞作り以外で会話中に選択肢は出ないので基本的に読むだけだが、この会話パートで起こるイベントは、企業やBABELのネタで世界を掘り下げ、クリスマスやバレンタイン撲滅同盟の騒動などで笑いを誘ったり、ネタとマジで世界設定の広がりと雰囲気を作り出している。会話パートでイベントを見ると「チップ」という消耗品が手に入り、これを使用することでネタを集めることができる(後述)。

夕~夜 広報委員活動パート

仲間を取材に行かせたり記事を書かせる指示をチップの消費で行うパート。
チップには2種類があり、1つがWHATチップ、もう1つがHOWチップで、これら2つのチップを仲間に渡すことで取材方針の指示を出し、編集長として記事の編集や仲間の体調管理をしていく。
  • WHAT : 取材場所の指定、記事の加筆修正、休養などをさせるチップ
  • HOW : どのような方法でWHATチップを実行するかを指定するチップで、INT/DEX/STRの3種類がある。情報収集、情報整理、体力勝負とか、そんな意味
全員個性派なので悩むことはほとんどない
取材するべき場所と方法、そのネタの取材に相応しい得意分野を持った仲間を推測して「WHAT」と「HOW」のチップを渡し、その2つの組み合わせが合っていれば特ダネを取ってきてくれる。チップは消耗品だから適当にやっていては足りなくなってしまうため取材のポイントをしっかり把握する必要がある。大阪ネタならあの人、海外ネタなら、言詞関連なら、企業関連なら……という程度でも絞れてくるので、会話イベントのテキストをよく読んで理解することが重要な攻略のポイントとなる。

日曜に新聞が発行されるので土曜に紙面を編集することになるが、発行には特ダネ3つが必要なので、金曜日までにネタが3つ揃っていなければその週は負けが確定する。
発行できなくてもその時点でゲームオーバになったりするわけではないが、1回分の売り上げを捨てることになって総合的に勝てなくなると思うので、月曜~金曜までに最低3つは必ず用意しておきたい。

週末は新聞を発行して売り上げの勝負。
編集は、政治、スポーツ、ゴシップなど、集めたネタから新聞の特性を決めて1~3面をどの記事にするかを選ぶだけ。
特性や記事の特ダネ力、記事の並び、それらで新聞の売り上げが変わるため、集めたネタの内容がゴシップに偏ってしまったら、「お寺でエステスティック!!」というしょうもない記事を一面にしてゴシップに特性を傾倒させたってかまわない。それら雑魚ネタにもキチンと記事の内容は用意されて読むこともできるので、それはそれでゲーム世界を知れる楽しみ方にもなるのがすごいところ

仲間と仲良くなるには。
攻略対象は男2、女6の計8人がいて、最終的に好感度の高いキャラとエンディングを迎える。
このゲームは会話中に選択肢が出ることが無いので、好感度を意図的に操作できるポイントは、取材で使用するチップをキャラの好みに合わせること、日曜日に誰かを誘って大阪の案内をしてもらうことの2点のみ。好きなチップかどうかは立ち絵やセリフで簡単に判別できるので問題はない。
  • 日曜日に売上数と購読者数が発表され、最終日に総購読者の数で勝負をする
  • 勝っても予選と本戦で対戦相手が変わるだけで、やるとはEDまでこの繰り返し

ライトノベル『都市シリーズ』の派生ゲーム

用語辞典大活躍
新聞づくりは特ダネさえ手に入れれば楽に勝てる程度のものなので、このゲームは立ち絵に下部テキストの一般的なADVと同じと考えていい。
会話中に選択肢を選ぶという要素が無いので介入ができず、第三者として単にテキストを読むだけになってしまうが、独特な世界設定の中での個性の強い登場人物と、BABELや企業などのシナリオの核となるネタが絡み合ったテキストが世界をどんどん広げてくれるので、いったんハマれば興味は尽きずのめり込める
登場人物の個性は全員強烈だが、設定にブレは無く主張は一貫しているので逆に魅力を増しているし、編集した新聞記事が読めることやイベントにはグラフィックが多数用意されている点もゲームを奥深く、そして面白くしてくれている。

注意点としては、『奏(騒)楽都市OSAKA』はライトノベル『都市シリーズ』から派生したゲームで、シリーズ特有の世界設定を共有しており、『都市シリーズ』を知らない場合は、意味の分からない単語が出てきたらその都度ゲーム内の辞書で調べていかないと間違いなくついていけなくなってしまうこと
序盤から次々と「言詞板」「架空都市」「遺伝詞」など、この世界でしか使われない意味不明な造語が登場するので、掴みの部分でつまずいてしまうと全く楽しめなくなる。読む以外に遊ぶ要素はほとんどないから、ノリが合えば世界や雰囲気に浸れることは間違いないだろうけど、合わなかったらかなり悲惨なことになる。

ボリュームがあってプレイ時間が長くなり同時攻略もできないので、全イベントやエンディングを見ようと思えば莫大な時間が必要となるのは難あり。分岐は無く引き継ぐ要素なんかも無いため周回に手間が多いのも問題。仲間を入れ替えてしまえば2周は別感覚で楽しめるがそれも2周まで。一気に通してプレイできるゲームでもないので、それ以上は少し期間をあけてから文庫本のスピンオフ感覚で楽しもう。それでも楽しめるくらいテキスト量が膨大。

・テキストスキップあり
・主人公の名前変更可
・ほぼフルボイス
・CGモードあり

ScreenShot

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