【ゲームアーカイブス】キャラは魅力でもフラグ管理が超難関『猫侍』

★★★ ADV PS1 ゲームアーカイブス 箱庭


猫又として江戸で生活を送るADV。

主人公の猫又「十兵衛」を操作し、江戸での生活や、江戸に住む猫又や人間達との交流の中で起こる様々なイベントが楽しめるADV。会いに行って会話をする繰り返しで好感度などのフラグを立てながら進めていく。

江戸の町を自由に歩き挨拶回り


キャラは3D
どこかに立ち寄って人や猫又に話しかけると好感度が上がり、好感度が一定値を超えた状態で特定の場所へ行くとイベントが起こる会話主体のゲーム。
主人公を含め登場する猫又たちは「転化」という術で人からは普通の猫に見えているが、実は二足歩行をしていたり人と同じような生活様式で暮らしているという設定がある。
釣った魚で「今夜はこれで一献」と酒を飲んだりツマミで貝の煮つけを食ったり、当たり前のように人と同じ生活をしているため猫又である必要性は微妙な所ではあるが、会話イベント自体の数や内容は充実しておりキャラ達の魅力は総じて高い。

主人公・十兵衛の設定は追われる身の猫又剣客で、追っ手を切り捨てることなどは日常茶飯事。
ゲーム開始直後に早速時代劇の殺陣のごとくズバズバ切り捨てるので殺伐とした風来剣客物語なのかと思えば、猫又であるということは人間にはバレてはならない絶対の掟があるのに序盤からあっさり猫バレしてしまうといった緩い所もあり、血生臭い話からギャグまでイベントやキャラは色々と豊富に揃っている。
ゲーム期間の5か月間に、この世界で様々なイベントを体験してく。
  • ムービーはQTEの操作が要ることもある
  • 立ち寄れる場所(48)、イベント(183)、ミニゲーム(14)
  • 1周目、2周目、3周目で少しだけ展開が変わる周回要素がある

キャラやテキストが秀逸

猫又という奇をてらっただけのゲームではなく、シッカリとした設定の上でのテキストが特徴で面白い。
キャラには剣客、学者、医者、刀鍛冶、呉服屋、細工職人、その他諸々個性豊かすぎる猫又達が登場し、イベント内容も仇討や暗殺といった血なまぐさい物、釣りや夏祭りと言った日常的な物と様々で、イベントのテキストもそれぞれの性格がブレずに良く出ており、自然と色々なイベントを見てみたくなってくる魅力がある。
江戸の街に着いて最初に会うのが青毛のケツアゴ猫又だったり、猫又専用の飲み屋に行くと威勢のいい桃毛の女中が出てきたりで度肝を抜かれるが、そんな連中でもイベントを見るにつれて愛着がわき自然と足が向いている自分に気づき出来が良いテキストなんだと実感できる

イベント発生条件と時間縛りがきつく、唯一の長所を活かしきれていない

好感度を上げる為には会って話しかければいいだけではあるが、それが異常に難しいのでイベントフラグが立たず進行を妨げる。どこかに立ち寄ると強制的に4時間が経過する上に、誰が何所に居るかが表示されないので、会いに行ったのに居なかったとなれば4時間を無駄にすることになる。移動中にも時間は経過するし、立ち寄れる場所は最大48にまで膨らむため、適当にやってしまうと誰にも会えずに好感度を上げることが出来なくなる。好感度が足りなければイベントは全く起こらず、町をうろつくだけの何の面白味もないものとなってしまう
会って好感度を上げるだけのフラグ管理が超難関。プレイヤーが任意で時間を飛ばせるシステムがあるのだから、もっとゆっくり自由に遊ばせてもよかったのではないか……。

この問題点が解消されたらテキストとキャラで大化けするはずだが、それらに出会うことを困難にする不要な縛りを入れてしまったがために長所が潰れた本末転倒作。
贔屓目無しこのゲームを評価すればゲームデザインの練り込み不足のひとこと。攻略サイトとにらめっこしても満足に進めることが困難とはこれいかに。周回による好感度やイベント状況の引継ぎなど、多少でも遊びやすくしてくれるシステムがあれば間違いなく化けていた。本当にもったいない。

・名前変更不可
・テキストスキップなし
・ムービーのみ声あり

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