ゼルダ風のアクションとパズルが魅力なARPG。
人々の夢の中に入り悪夢と戦う力を持つ「まどろみの一族」である主人公アランドラが、悪夢に苦しめられている人々を助けていく中でその原因を突き止め立ち向かうというプロローグ。『ゼルダの伝説』のように、拠点となる街で情報を集めてイベントを起こし、フィールドを歩き回って各ダンジョンへ行くという基本を踏襲したARPG。
謎解きARPGの古典
街はひとつしかないものの、フィールドは広大で、物語を進めて特殊な装備やアイテムを手に入れると、通行止めしている障害物の破壊や通過ができるようになり、行き先や隠しアイテムの獲得など選択肢が増えていく探索もある。ダンジョンの種類も遺跡、砂漠、洞くつ、水路、大樹、夢、これら様々な造りのダンジョンや仕掛けが待ち構える。ダッシュ、ジャンプ、溜め撃ち、魔法、持つ、投てきなどがあり、武器には剣、鉄球、弓、杖がある。武器によっては強力なチャージアタックが使用でき、杖には障害物を燃やしたり凍らせる効果がある。
これらのアクションや武器の特性を利用した謎解きが豊富で、樽を運んで足場をつくる、段差を付けて階段をつくる、スイッチの切り替えや爆弾を利用した時間差での切り替え、ブロックを壊したり燃やすなど、SFC時代のARPGが好きなら間違いなしのネタが豊富にある。
ギリのアクションと不親切デザイン
難点はギリギリジャンプが前提となっている意地悪な難易度の高さ。このゲームはジャンプアクションにかなりの正確さを求められる上に、奥行きの判別が単純に見た目では難しくて背景や自身の影で見極めなくてはならない場面も多い。そこへ時間が経つと足場が消える、乗ると壊れる、順番通りに乗らなければならないなど、難易度が上乗せされて急かされるので、アクションが苦手だとやり直しがかさみイライラが募る。
数は少ないとはいえ不可解な謎解きも考え物で、画像にあるように、どう見ても足場に乗っていない位置から飛ばなければ先に進めないという場面や、2Dゲームにありがちな見えない抜け道などがあり、この辺りの謎は当然のようにノーヒントなので理不尽にも感じられる。
この不親切は探索にも影響する。
アランドラの成長は武器や命の器という強化アイテムの入手に限定されるが、そこにダンジョンなどで手に入る「金のくちばし」を収集要素として関連付け、集めた数に応じて装備やアイテムを報酬として交換できるようにしてある。
隅々まで探索させる意欲を煽る手法だとは思うが、夢の中などのダンジョンはクリアすると二度と入れず、前述のように意地悪なマップデザインもあるから、取り逃すことを避けたいのなら攻略本は必須となってしまう。
調べたら「そこの壁通れるのかよ!!」なんてことは珍しくもないし、再入場不可とギリジャン難易度や不親切の合わせ技で、むかつく探索を避けて楽しむのでなくクリア優先になりがち。何のための探索要素か。
金のくちばしは多少取り逃したところでコンプリートが不可になるという程度の問題でしかなく、ゲームとしてバランスが崩壊することはないので神経質になるほどの問題ではない……とはいえ、成長要素と見えない抜け道など探索意欲を白けさせる組み合わせは擁護したくない。期待があるから探すのも楽しめるのであって、ヒントすら用意せずその期待を肩透かしされたらムカつくに決まっている。
デザインの不親切と要求されるプレイヤースキルの高さで難易度が不必要に上がっているけど、謎解きのネタや広大なフィールドを持つボリュームなど、アクションありパズルありのARPGとしては昔懐かしの良い出来でまとまっている。
ただ、ギリジャンにイラつきやすかったり取り逃し要素を許せない神経質なひとにはおすすめしません。
・声なし
・テキストスキップなし
・名前変更不可
・周回要素なし
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