戦国の覇者・織田信長を主人公としたノベル。
信長の人生はもとより歴史をも変化させられる夢のノベルゲーム。本能寺の変で自害する直前からスタートして、そこで「桶狭間の合戦」まで戻ってやり直すか「長篠の合戦」まで戻ってやり直すかの選択肢が出て、選んだ選択肢によって以下のような内容でゲームが進む。(信長に)なりきろう系。
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信長の生涯編(桶狭間を選択した場合)
- 桶狭間の合戦からの信長の人生を体験できる
- 選択肢次第ではいきなり桶狭間で敗走するなんてことも可能な自由な展開をする
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本能寺の謎編(長篠を選択した場合)
- 信長が本能寺を襲撃された記憶を持ったまま長篠の合戦前夜に戻る設定で進行する
- 生涯編のように信長の歴史を体験するという話でなく、信長や本能寺の変に関わる人物の心情を描く場面が多く、光秀の謀反の理由や黒幕の存在なども独自に語られている
様々な方面で活躍する信長の物語
史実通り進めるもよし、歴史を変えるもよし、刀を捨てて商人になるもよし、全てを捨てて盗賊に成り下がるもよし……さまざまな信長の生涯はユニークで面白く、序盤の選択肢次第で「桶狭間編」と「長篠編」に分岐して全く違うシナリオになるのも満足できるボリューム。史実通りに進めて本能寺の変で生き延びることも可能で、黒幕や理由などが独自に描かれているのも面白い(その後の話は広がらないが)。ただ、史実から外れた「たられば」の類いは選択肢によって話が飛び飛びに分岐することが多く、商人をやめたかと思えばすぐに出戻ったり、秀吉が付いて来ているはずなのに全く出番がなかったり、逆に急に出てきて信長と常に行動しているように描かれたり。
その辺りの辻褄の合わない点は一切触れられないので、選択肢によって一つの物語を紡いでいくというよりは、章ごとに区切られた別々の話が選択肢によって選ばれ再生されているだけという印象を受けてしまう。話の筋に疑問符が浮かぶのはノベルゲームとして少し問題がある。
君はスキップの無いシステムに耐えられるか
選択肢の数に対して分岐が少なく、選択肢が3つあってもその次の展開は全て同じ……そのような場面が多いので、ネタバレを見なければ分岐させること自体が難しい。超展開の類いもチラホラ見えるのも個人的にマイナス。中でも特に気になるのはシステム面で、エンディングや分岐の多いゲームなのにテキストスキップすら無い前時代システムのせいで、登場人物表を埋める遊びなどは相当に無駄な時間がかかってしまう。
選択肢によっては即バッドED行きということも少なくないので、遊べば遊ぶほどにシステムの粗がかなり気になってくる。フローチャートなんかもなく遊びにくさは相当なもの。
「長篠編」の光秀や家康、秀吉らの思惑が描かれている興味を引くネタは多いもシステムが前時代。スキップやフローチャートなどがひとつもないシステムを我慢できるなら手に取るのも悪くない。
・テキストスキップなし
・サウンドモードあり
・セーブはどこでも可能
・エンディングまで到達したデータなら、それまでに読んだ各章の冒頭からやり直せる
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