【PSP】アナタヲユルサナイ【PSP縦持ち探偵ADV】

関係者全員から要点を聞く総当たり探偵ADV。

一度情報を入手した場所へ再度行こうとすると「そこへはもう行った」と教えてくれて、情報が残っていれば選択可といった具合で、何度も同じことを繰り返さないで済むようなテンポを崩さない工夫があり遊びやすい。雰囲気は全く違うもののゲーム性は『神宮寺』シリーズとよく似ており、『神宮寺』と比べると選択肢を選ぶ回数も少なく同じ内容の話を何度も聞かされることもない。追跡ミニゲームで失敗が連続するとイライラするが、既読スキップが高速のためやり直しも我慢できる範囲。余計な情景や心理描写が少なく物語がテンポ良く進むので、一度読み始めるとサクサクと気持ちよくページ送りボタンを押させてくれた。

親父からも夫からも仲間からも蚊帳の外な主人公（プレイヤー）

あの手この手で物語を盛り上げようが核心部分では主人公は居なかったり寝かされていたり蚊帳の外の状態で勝手に進む場面が多く、主人公を操作するプレイヤーからすると何もわからないまま駆け足の尻切れトンボで〆られてしまう不完全燃焼が目立つ。知らされることだけで物語を理解するには情報が足りず雰囲気を感じて楽しめとでも言われているような余韻だけが残った。声はなく立ち絵の種類も少ないし表情すら変化しないから感情移入が難しく、そもそもの話数が全6話と少なく満足に登場機会すら与えられないキャラも少なくない。結果として人物像や主人公との信頼関係の掘り下げ不足により物語の深みを描けずに終わっている。そのような読み手任せの落ちにしても胸中を推察する情報がないのだから感情には届かない。テンポは抜群によかったけど物語の描写が不足していた。