ホラー? ミステリー? またまた御冗談を……
選択肢を選びながら物語を進めて行く12章構成の縦読みノベルゲーム。人間を生贄として魔王の力を得ようとしたケビン伯爵と、ある日突然魔王に対抗できる不思議な力に目覚めた少女ミルフィの戦いの物語。中世から現代まで時代をまたいで舞台が飛び、章ごとによって主人公も変更される転生モノの要素も見える。
ツッコミどころの欲張りセット
ミステリーなのかホラーなのか何なのか知らないが、ミルフィやケビン伯爵の設定があやふやなので脈絡がなく何故そうなるかの意味が分からない。登場人物の心理描写や物語が展開される舞台の描写もほとんど無いから、シナリオが急展開かつ説明不足の支離滅裂で何でも有りのもうどうにでもな~れ。あなたはどれだけツッコミを入れる事ができるでしょうという余興でもやらされている感覚に陥る。
例えば……
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ある日突然、病院だった場所に怪しい館が建っていた
- 主人公以外は誰も気づけないのか?
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気を失い暗転した後、目が覚めると鉄格子の地下牢の中にいた
- たった2行でヘアピンを使って鍵を外し何事も無かったかのように外に出る開錠のプロ
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魔王は直接ミルフィを手に掛けることが出来ない
- 槍で串刺しにしてましたやん
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恋人の人格が、時代を超えて復活したミルフィに上書きされて消えてしまう
- 何も突っ込まずあっさり受け入れる主人公の適応力すごい
ザ・ワールド
「魔王」とは何ぞや目的は何ぞや。それらが全く掘り下げられないケビン伯爵の存在は、時代を超えてまで頻繁に登場しては人を異形化させたり腹の中から飛び出てきたり、「魔王」の力を得たらしい悪行を色々とやってのけるが、何の理由があるのか目的は何なのかが全く描かれていないためネタ要因の道化のようになっている。となればそのケビンに対抗する力を持つというミルフィの存在も相対的にあやふやとなり、2つの核が潰れてしまい何が言いたくてどんな物語にしたいのかが見えてこない。
更には終盤で突然「神」というものが現れてホラーやミステリーから完全に脱線したファンタジーになってしまう。
最終章では主人公がそれまでの出来事や神の意志とやらを勝手に解釈してまとめだし、呆気にとられるプレイヤーに意図の分からない3択でその答えを問い続けて勝手に自己完結をする。すると暗転演出の後になぜか冒頭のミルフィとの出会いの場面に飛んでエンディングとなる。
物語を紡ぐ上で重要な存在の正体が曖昧のまま夢オチのようなエンディングを迎えてしまうため、唖然も唖然、あまりの酷さに時が止まる。
読み物として読みにくいのもどうなのか
- 所々文章がガタガタでやたらと読みづらい
- 特に前半はかなり酷い
俺は、
リサにたいした事もできずに
出発した。
できれば、
二年間なにより願いつづけた、
心の通った
会話をしていたい。
しかし、
会話らしい会話と言えば、
嫌がる
妹の説得をしたくらいだ。
こぼれる涙を拭おうともせず、
リサは俺を引きとめた。
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