恋愛巨編SRPG。
- 翔泳社の恋愛巨編シミュレーションRPG第二弾。
- 第一弾は『精霊召喚 〜プリンセスオブダークネス〜』である。
精霊召喚との比較
物語が作られたことでゲームらしくなった。そんなの当たり前とも思えるが、『精霊召喚』には無かったから大きな進歩と言える。
その物語を簡単に説明すると、争いの絶えないセラードとベルガードという2つの民族があり、主人公はハーフのため両方の血を引いている存在。ベルガードである父は失踪し、セラードの母はベルガードによって死に追いやられ、自身もその血のせいで迫害される。母の事件や家族を守ろうとしなかった父を目の当たりにしたことでベルガードを憎むようになり、ベルガードと戦うため人一倍の努力を重ねてセラードのトリスタン公国騎士団の小隊長を任されるほどになったが、反公国ゲリラの討伐任務に就いたところで相変わらず疎まれて部下は一人もいない。そこへ幼馴染(巨乳)の加入を切っ掛けに次々と仲間(巨乳)が増えていき、数回戦闘をこなしただけで騎士団長お墨付きの騎士団最強精鋭部隊が出来上がる。後は世界を救うそれ。
これが実につまらない。
敷かれたレール通りに進むしかない主体性や自由度の欠片もない展開で、活躍して勲章を貰おうが反逆者になろうが世界が滅ぶかどうかの瀬戸際に陥ろうが、視点が主人公一味から一切移らないから敵の思惑や世界情勢がわからないし、登場人物も内輪キャラ以外がさっぱり出てこないので物語の体をなしていない。ある村で歓迎されたという描写があっても村人は一切出てこず、村の外でキャンプして「羊一頭くれるなんて太っ腹ね」とか言わせる徹底ぶり。
宗教・種族・幼馴染・王女・ベルガードの仲間・タイムパラドクスなどなど、色々なネタを出して風呂敷を広げている物語も、それら出したネタがまるで回収されていないのでどっちらけ。必要最低限の物語はできたのかもしれないが、ゲームとしては『精霊』と同等の品質のまま。
仲間と話してイベントを起こせるようになった
『精霊召喚』なら次の瞬間に目的地に着いているが、このゲームは移動に使用している船の中で各キャラに会ってイベントを起こすという要素が追加された。これによりキャラ描写が比較的まともになり、専用の絵や立ち絵も合わせて複数用意され、コンセプト通りの恋愛要素のあるギャルゲーと言えるレベルにはなっている。と言いたいところだが、そのイベントは飲み物は紅茶が好きとか味付けはアッサリ系が好きだとか、掘り下げとは無縁の意味の無い内容が大半の水増しである。
幼馴染キャラが居ても過去のことはほとんど触れられないし、ベルガードの血で疎まれるわ一家が離散するわでベルガードを恨んでいるらしい主人公の設定も、疎まれるのは仲間がいない最初の戦闘前にセラードの傭兵から「なんでこんなヤツと……」と嫌味を言われる程度の扱いで終わり、相反する民族同士で結婚した両親の馴れ初め話も全く語られないまま終わる。主人公以外も人物像の背景はスカスカのまま最後まで放置されるので、表面的な設定だけのキャラには人間味が感じられず感情移入は難しい。恋愛を謳うギャルゲーなら力を入れるべき所なのに何もしていない。
レベルを上げて物理で殴る戦闘
戦闘は『FFT』を模倣したかのようなものに変貌し(編成画面の仕様はそっくり)、背景と移動可能マスがずれてるなんてことも無くなり遊び易くなった。しかし相変わらず問題点は山盛りで、段差がある所はそもそも登れない平面的な戦場では戦術的な要素が無く単調だし、キャラの育成はレベル上げと装備変更だけでカスタマイズの要素が一切なく戦闘にやりがいがない。技も単体か全体が対象のものばかりでユニット性能の差別化もほとんどない。一部のボスしか技を使えない通常攻撃戦闘は地味だし、ラスボスも一種類しかない全体技を繰り返すだけの芸の無さを披露する。
行動順の確認には各ユニットにカーソルを合わせてATの数値を見る手間が必要だったり、行動のキャンセルができない点も『精霊召喚』から何も変わっていない。レベルアップによる成長の度合いが大きく、レベルが低ければ勝てず高ければ無双のバランスになるのもダメ。
まとめ
複数の立ち絵やイベント絵が作られ、物語らしいモノもでき、第一弾の『精霊召喚』と比較するとゲームらしくなっている。しかし内容は相変わらず。第二段も結局は同じ出来。・フルボイス
・イベントシーンカット可
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