【ゲームアーカイブス】パン屋の配達お手伝い『どきどきポヤッチオ』

★★★★★ PS1 RPG ゲームアーカイブス 箱庭



キャラクターが生きている箱庭世界がここに。

夏休みの一か月間、いとこのマリアねーさんが切り盛りするパン屋「コロッセル」の手伝いのためプエルコルダンへ行くことになった主人公のジャン(変更可)。
プエルコルダンでは25人の村人がそれぞれのスケジュールを持って生活をしており、ジャンもリアルタイムで進行する生活感のあふれる箱庭世界の一員として、パンの配達を通して様々な出会いやイベントを体験していくことになる

パンの配達と材料の買い物が主人公の仕事

パンの配達は本人に手渡し
朝8~9時の起床から21~22時の就寝までが基本的な行動時間となり、プエルコルダンを歩き回ってパンの配達とお使いをこなし、村人たちと出会い、挨拶をして、会話をして、イベントを楽しんだら次の日も同じように過ごす。
アクティブコミュニケーション」と呼ばれる『ポヤッチオ』のシステムは、そういった日常を疑似体験することができる古いけど新しいジャンルのゲームとなっている。

配達は毎朝マリアねーさんから仕事内容が書かれたノートが渡されるので、それを確認しながらパンの配達先となる本人へ届けること。
お使いは目的の品目を雑貨屋で買ったり森で収穫して自宅の冷蔵庫に入れることで達成となる。
難しいのは配達が家ではなく本人への手渡しが必須となることで、「リーナにプラムマフィンをお届け」のように相手の名前しか書かれていないノートの情報だけでは、キャラの顔や名前、住所がまるでわからない序盤はひとつの配達の時点でてんやわんやとなり、それぞれが自分のスケジュールを持って行動する生活パターンもわからないため四苦八苦する。
ウロウロしてたら日が暮れていたなんてこともあるあるネタになりそうなほど。

これが問題点にならないのは、村人に話しかけた際に「なんかおしえて?」と「ドコにいるの?」の2つが基本の質問としてあること。
会ったことや聞いたことがある人の名前をキーワードとして質問をすることができるので、会話や配達を通して人と人との関係が自然と形成されプエルコルダンの事情に詳しくなり、住人のひとりとして生活できているような感覚を得られる箱庭生活の面白さを生み出している

人や地理を覚えることで成長を実感できるRPG

様々なイベントが毎日発生する
プエルコルダンでは、25人の村人がそれぞれ自分のスケジュールを持って生活しており、イベント中でも会話中の自分たちの脇を村人が通り過ぎることも日常茶飯事。
キャラが生きていると感じさせてくれて感情移入を妨げないし、イベントもシームレスで突発的に発生することが多いので、「イベント回収」や「好感度上げ巡回」などのいわゆる「ゲーム感」が希薄になり、自然と時間が経過する感覚で最後まで遊ばせてくれる。気が付いたら日が暮れてるやつ。

生活をメインに据えるゲームの重要な要素は世界の存在感で、それを形成し興味を持たせるのは「舞台設定」と「人物」と「イベント」。
その要素がバランスよく組み込まれた『どきどきポヤッチオ』は生活ゲームとしての水準がかなり高い。配達と収穫で地理を知り、情報収集でキャラを知り、イベントでそれらに説得力を持たせている。

イベントの総数は1,000以上(らしい)と多く、人物や地理を覚えて自由に配達や挨拶回りができるようになるころには、気になるキャラを追いかけまわしたり、イベントで待ち合わせをして遊びに行けたり、配達の合間を縫って森で収穫した果物や花を気になるあの娘へプレゼントしてみたり、自分の思う通りにプエルコルダンの一員として溶け込み生活を満喫できるようになる。

その合間にも歩き回るだけで毎日何かしらのイベントを連鎖的に挟んでくれるので、無駄や暇といったマイナスの感情が顔を出すことなく気づけばゲームの世界に入り浸り。無から積み上げたものを財産として利用させる様はまさにRPGで、配達をしながら人物と地理を次第に覚えていき、ゲーム世界に自然と溶け込めていく感覚が心地よく生活感が楽しい

古臭いシステムは許容して

テキストスキップ」「イベントスキップ」「イベントやエンディングリスト」など、プレイを快適にする補助となるシステムが一切搭載されていないのがきつい。
1回のプレイで10時間はかかってしまい、セーブはひとつのメモリーカードに3つ作れるが、ゲーム中はひとつのデータに上書きしかできないため同時攻略も難しく、攻略対象が6人いても周回を億劫にさせる。
歩き回ることが楽しいとはいえ会わないと好感度が下がるのも強要を意識させられてしまう。これらシステム面が今だと少し厳しい

データの上書きを避ける方法として、セーブするときに現在使用しているメモリーカードのデータを片方のスロットに移動させた上で消去していれば、就寝時のセーブで使用していたデータが消えてるから新規に作れと言われるので、その際にデータを移したスロットを選択すれば別の空き容量へ書き込める複製らしいことはできる。

いちいちこんなことしなくてはならないシステムの古臭さは否めないが、設定やキャラクターの生活感に配達を通して溶け込めていく楽しさは格別
キャラクターアニメーションも10,000枚あるらしく、ドットで描かれたキャラの動きは髪がフワフワしていたり本を読んでいるときにうつらうつらしたり、眠っているときの呼吸で布団が上下する細かい動作や漫符表現など、愛嬌や愛着を持たせる呼び水のおかげで生活感が一層深まり溶け込める感覚にも一役買っている、雰囲気や表現が豊かな架空生活ゲームのおすすめのひとつです

簡易地図

ポヤッチオ 地図

ScreenShot

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