転生モノのビジュアルノベル。

テキストを読み進めて各所で出てくる選択肢により個別ルートへ分岐していく典型的なADV。
平安、元禄、幕末、そして現代、各時代へ転生を繰り返し、運命に翻弄されながらも一途の愛を貫き通す様が描かれている

自身が転生で経験した生を振り返り、点と点が線につながっていく

悪夢という形でしか前世のことを思い出せない序盤の現代から、事の始まりである平安、元禄、幕末と、各時代で何があったのかを読み解いていく。
転生の過程を段階を踏んで思い出すことで記憶の点と点が線で繋がっていき、過去に何があって現在の異変に繋がっているのかということや、主人公をはじめ各登場人物の思惑などが形になっていく構成が特徴

序盤の現代編での主人公は、転生を繰り返すような人外であるということが悪夢として現れ毎晩うなされるような状態。
全てを思い出すということは、それを肯定してしまうことになり、一介の人間としての生を投げうつことになるかもしれない。
そんな恐怖に苛まれ逃避を選択する現代編から、輪廻の運命に抗うため過去を認めて向き合う決意をする流れは、各時代の個性を描き分けられた主人公の意思がきちんと汲まれているので、時代を追うごとに思いの深さに説得力が生まれ引き込ませてくれる。

テキストはブレブレ

情景描写や地の文に比喩のくどい言い回しが目立ち、表外漢字もふんだんに使用されているから、好んで文章に親しんでいるほうでもないので読みづらかった。
やたら難読な古臭い言い回しをすると思えば、平安人が「ロマンス」や「アジト」とか言い出したり、名前と苗字呼びが会話中に頻繁に変わったり、敬称をつけたりつけなかったり、語尾に「♡」を連続して付けたり……、違和感を覚える場面は少なくない。
ルビや用語集もないからデジタル辞書を片手に読まされるブツ切りの横槍にも悩まされた。

支離滅裂なご都合主義展開

敵に肩の肉をごっそり抉られ、磔のように四肢を釘付けにされて、激痛と失血で虫の息になっているという描写の直後に、肉が裂けるのもいとわず釘付けにされた体を強引に剥がして何事もなかったかのように剣を振り回して颯爽と敵を撃退する
その傷も十日前後寝るだけで“なぜか”快復するし、毒を飲まされて倒れた直後に刀で貫かれても半刻で何事もなく復活する。

様々な場面で前後の描写を無視した理屈抜きの主人公補正が不可能を可能にするのでしらけるしらける。
単に無敵の主人公然とした様が描かれ続けるのかと思えば、「賊に現実の厳しさを教えてやるのは嫌いではない(キリッ)」などと言っておきながら、選択肢の正解がランダムな運ゲーの雑魚戦であっさりとやられてしまうこともある。
その後の強敵と相対した時のセリフで「法力はなくとも俺にはこいつ(剣)があるんだぜ!」などとほざくから共感性羞恥がすごい。
強いんだか弱いんだか主人公像がよくわからなくなるし、劣勢で窮地に立ったところで「と、その瞬間!」という言葉とともに“何か”が起こって形勢逆転する理屈を無視した奇跡や精神論の類いも目立つから、納得できる理由付けの抜けた戦闘描写は信憑性に欠けて感情に届きづらい。「能書きはいいからさっさとやれ」というツッコミを入れてしまいたくなる。

当然とはいえ前時代すぎるシステム

何気ない選択肢一つでルートが消滅してしまい、終盤になってやっとゲームオーバーという形で攻略失敗がわかる。
フローチャートの機能がないのでゲームオーバーになったらまた最初からとなり、スキップの速度は遅く戦闘や演出も飛ばせないからなおさら面倒くささに拍車をかける。元々が長いのに章の頭からやり直せるなどの工夫が何もない
スキップもいちいちスタートボタンを押してスキップコマンドを選択しなければならないし、選択肢を選ぶたびにスキップが停止してまた同じ手間を要求されるのも面倒。ただでさえ難解なのにバックログが5ページしかなかったり、システム面は問題点が目立つ。

まとめ

行動原理の悩める心情は個が立っていて良かったが、陰陽師や土蜘蛛、まつろわぬ神など、いろいろな要素が混ざっていて、神話や伝奇、オカルトの類いに興味も知識もないから丁度いい具合の解釈ができず禅問答のようで苦労した。オカルトの下地がないとつらい。

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