ローグライクと商売のARPG『ムーンライター』。
ランダム生成ダンジョンや力尽きるとアイテムロストなどのローグライク要素と、ダンジョンから持ち帰ったアイテムを自身の店で販売して資金をため、街に武器職人やポーション職人などのNPCを招いたり店の増改築を行う商売の2つの要素を汲むARPG。ゲーム体験は最後まで変化しない広がりのなさ
ダンジョンは3フロア+ボス部屋で構成されたものが4つあり、ボスを倒すと次のダンジョンの入り口がアンロックされていく。一部のアイテムを素材として4段階まで武器や防具を強化することができるが、強化しても上がるものは数値のみで、技はそもそも無く操作感が何も変わらないから単調が続く。
力尽きるとアイテムをロストしてしまうためボス戦ではさすがに緊張感を生むが、ダンジョンは3層しかない上に狭いから簡単に再挑戦でき、宝箱やドロップ品で得られるものも大抵売るしか用途のないもので再挑戦すれば簡単に取り戻せるため、その緊張感も進めば進むほど薄れていってしまうという全体的に残念なデザインになっている。
もう一つの特徴である店での商売も似たようなもので、大雑把に値段をつけて客の反応を見ながら相場を絞り込むだけなのに時間を食うから単にゲームのテンポを損ねている。
ダンジョンに行き適当にアイテムを集めて帰還し、時間をかけて店で売り払い資金をためて武器の刷新や店の増改築を行うという一連の行動を、ダンジョンの数と同じ4回ほど繰り返すことに終始するだけ。自由度以前に元々の選択肢が少なすぎてゲームに対して期待に胸を躍らされるような可能性というか魅力をほとんど感じられない。単調が過ぎてゲームを遊んでいるという感覚すら希薄に。
掲示板とNPCが居れば済むようなことをやらせるデザインの鬱陶しさ
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手間を生むあれこれ
- 収集や討伐などのクエストは客からの依頼なので来店するまで待つしかない
- インベントリや倉庫の容量が少ないうえにアイテムは5か10単位でしかまとめられず管理が面倒に
インベントリに関しても無駄手間は目立ち、ダンジョンで入手したアイテムの多くは呪いが仕掛けられ、インベントリ内の端にしか置けなかったり隣接したアイテムを帰還時に消失させられるため面倒な管理を強制されてしまう。呪いが仕掛けられたアイテムは同一アイテムでもまとめられないため嵩張り、取捨選択やリソース管理のゲーム要素としてではなく、配置変更や処分のため何度も余計にインベントリを開くことになり意識は手間のストレスに支配される。
融通が利かず何をするにも一連の手間を組み込まされるから、幾度となく「この要素は必要なのか?」と水を差されてしまいゲームを楽しむ余裕を失くしていった。少しでもゲーム性を持たせようとしてる苦肉の策なのだろうが、万引きをする客を入れてきたり需要と供給のバランスで相場を変動させるのも、そのどれもが余計としか思えない操作を要しテンポを崩す無用の長物にしか見えなかった。
数値しか変化しない装備の強化と店の増改築をするためでしか資金の使い道はなく、装備購入の必要分を手に入れるため前時代RPGの経験値や資金稼ぎのように、期待や好奇心ではなく他に手がないから仕方なくダンジョンへ駆け込むという本末転倒な苦行プレイへと変移していった。
レア装備のドロップやコレクションなどの期待を生む要素もなく、オートセーブは場所限定でダンジョン外の任意セーブ/ロードすらない時代錯誤システムなども不満を煽った。
単調ながらもチマチマ稼いで店や装備をアップグレードしていく積み重ね作業に満足感を得られそうなら……というところだけど、場違いなミニゲームをその都度やらされているかのような、楽しさではなく手間しか生み出さない作業感に苛まれる要素ばかりが目立つためおすすめしようがない。
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