人形師コメディー『マニュアルサミュエル』
面白事故であの世に行ってしまった主人公サムが死神から蘇生の話を持ち掛けられるも、その条件として糸操り人形のような生活を強いられてしまうコメディADV。特徴となる糸操り人形のマニュアル操作とは、言葉の通りサムを糸で操るマリオネットのように体の各部に対応したボタンを押して操作すること。呼吸、瞬き、歩行、会話など人体の動作をプレイヤーが操作して物語を進めていく。
コメディとバカゲー
サムの操作を誤ると結構お間抜けな展開になるバカゲー要素が強い。呼吸の操作を忘れると顔が真っ青になって倒れ、階段の上り下りの際に右足の次に右足を出して操作を誤ると回転しながら転げ落ちるし、気を抜いて操作が滞ると背筋が逆に曲がるイナバウアーみたいな恰好になってしまうなど、操作次第でサムはかなりヤバいヤツになる。その度にナレーションがサムの滑稽な姿やそれを見る周りの人たちの様子を実況したり「立つんだサム!!」みたいなコメントを入れてくるバカゲーのそれ。
コメディとしても『Mr.ビーン』とか『アルフ』のようなガヤ声が似合う雰囲気があり、死神のうっかりで福祉施設にミサイルを撃ち込んで爆破してしまうなどのブラックユーモアも盛り込まれている。
突拍子もなくメチャクチャなことをやるだけやって勢い任せに笑いを取って逃げ切るのではなく、最後にはキチンとなんとなしに大団円にしているからコメディとして楽しめるようにできているのも良い。
これらバカゲーやコメディの良い雰囲気は持っているが、肝心なゲームとしては指示通りにサムを動かさないと何も始まらないから面白くない。その指示も歩行とか呼吸とかの単純作業がメインだから、間違えたり忘れて操作不能になってやり直したところで単純すぎて達成感もなく面倒が先行する。
2人でサムの部位を分担する協力プレイをしたところで指示通りにやるだけで競うわけでも難関に挑むわけでもないから変わるものでもないと思う。どこにも披露しないのに二人羽織の練習をしているかのような虚しさが漂いそう。マニュアル操作という特徴が出オチでそれ以上が何もなかった。
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