【ローグライク】周囲にあるものを武器として振り回してぶん投げる『Going Under』

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インターンはゴブリン狩り『ゴーイングアンダー』。

募集要項にあったマーケティング部門での経験を積むことを目標として入社したはずの会社で、何故か地下ダンジョンのゴブリン狩りをインターンでやらされてしまうというブラック企業が舞台のローグライク。
通常のローグライクと違う特徴は、そこらにある椅子やキーボードやモップなどを武器としてとっかえひっかえ振り回したりぶん投げて戦うこと。武器全般はすぐにぶっ壊れ持ち運べるインベントリは3つしかないので、アイテム管理や武器防具を育てるなどの要素は取っ払われたワチャワチャアクションのようになっている。
主な特徴
  • そこらにあるものを拾い武器にして振り回したり投げるACTと、死んだら戻されて初期化されるダンジョンランダム生成のローグライクを組み合わせたゲーム
  • 武器は数体倒すころには大抵ぶっ壊れるためとっかえひっかえが前提で、装備の強化やインベントリの管理などは廃されたアクション寄りのバランス
  • 主人公の強化は店でスキルを買うか拾うことでレベルなどはない
  • スキルの総数は99個で一定数を買うか拾うとアンロックされ1つだけ選んで持ち込める
  • アシストオプションでいつでも難易度調整可能な救済あり(デメリットなし)
  • ダンジョンはメインが3つ、中ボス、難易度上昇のメイン3つ、ラスボス、メイン全てを通してプレイするインポスターモードなどがある
  • 日本語訳はバッチリ

遊びと学びの並行

主人公は新人社員なので「敵を燃やせ」「素手で倒せ」「状態異常にしろ」などの様々なタスクが課され、遊びと並行して徐々に仕様を覚えてスキルを身につけさせていき、貴重な戦力となれるよう育てる育成プログラムがよくできている。要するにゲームとしての導入が良い

最初は当たり前のように失敗続きになるが、ダンジョン攻略に成功しようが失敗しようが戻るとイベントが起き、やっていれば勝手に貯まるキューピット(通貨)でアンロックできるスキルなど、仕事に対する意欲が途切れてしまうような無駄や作業感が生じない工夫がよくできている
そんなこんなで地道にタスクをこなしていると、最初は25分で満身創痍のクリアになっても慣れてしまえば10分程度で踏破できるようになっている。「自分に合う武器やスキルの取捨選択」「敵の特徴の把握」など、これらを遊びと並行して学ばせ上達の実感に繋げてくれる。結果が伴うので楽しい。
個性が取り柄な同僚タスク

変化しないゲーム体験に飽きは早い

アクションは最初から最後まで拾った武器での攻撃とドッジロールのみ。
武器の違いは突くか振るかがいくつかパターン化されているだけで、見た目はまるで違う武器でも動作は同じものばかりで折角の「周囲にあるものを何でも武器に」の特徴が薄れている。
範囲武器や小回りの利くものが使い勝手がいいが、あっさり壊れるから結局は隙を突いて殴ってはドッジロールで逃げてを繰り返す当て逃げに終始するため、適材適所で攻略しているというより手当たり次第とっかえひっかえをしているだけの印象になってしまう。

敵の数が増え遠距離攻撃や爆破などで画面がやかましくなって難易度が上がり対策を講じるにしても、武器の温存はぶっ壊れるから大して意味がないし、装備シナジーや特攻もなく似通ったスキル群では“慣れ”以上の工夫の余地がない。
攻略に向けてプレイヤースキルとして積み上げるものは、武器・スキルの性能や敵の攻撃パターンを予備動作から覚えていくことだが、武器のパターンは少なく操作そのものに手を加えられることもないし、バランス調整も敵の数を増やし攻撃を激化する極端なものなので、クリアしたところで序盤以降は積み上げた経験で切り抜けたという満足感は得にくくなる。

アイテムの効果や敵の動作に特徴などを覚えて危険度を知り、脅威の優先度の高い順に素早く効率的に処理を行うような、窮地を脱するために最も良いと思われる選択を経験則から導き出すローグライクのゲーム性を遺憾無く発揮する、そんな快感をもたらす場面に出会えることはほとんどない。あるのはパーマデスの緊張感のみ
攻撃が激しくて緊張感はある
配慮の足りない操作もよくない
手持ちに空きがある状態でドッジロールをすると勝手に武器を拾うから変更の手間を勝手にはさんでくるし、ドッジロールをするだけで拾ったかと思えば棚の上にあるものは棚を壊さないと取れない。でも棚を壊すことが難しくて油断すると武器まで一緒にぶっ壊してしまうなど痒い所に手が届かずイライラさせられることもある。

説明不足も気になる
99個のスキルに武器や消耗品などもあるので選択肢は多いはずだが、武器の性能は素振りしないと分からないのはいいとしても、スキルの説明文に具体性がなく効果がまるで分らないとか、同僚のくれる消耗品のアプリや飲料水なども使わないと効果がよくわからない(使っても分からないのも少なくない)という説明不足がかなり目立つ。
ローグライクは自分や状況に合わせて経験則からアイテムや武器防具を取捨選択するのが面白要素のひとつなのに「わからない」では選択肢を狭める単なる損失である。
分かりやすいのは試す楽しみを生む

まとめ

導入は良くも奥深さの上限が低い。
そこらにある物を振り回して身を守るというアイディアは面白いし、繰り返しを徒労にしない同僚タスクや熟練度で遊ばせながら結果を伴う成長の手助けをしてくれたり、アシストオプションがあるので自分に合わせた調整ができるなど導入はとても良かった。

手探りの間はそのようなプレイを持続させる工夫に夢中になれたが、ドッジロールしかないアクション性の乏しさ、武器やスキルの代り映えの無さ、ボスを無敵にしたり雑魚の数を増やす難易度調整の芸の無さ、ダメージの原因が分かりにくいやかましい演出など、大雑把で広がりのないゲーム性に飽きは意外と早かった。
導入や設定やキャラの掛け合いなど丁寧に作られている印象は持てるが、肝心なゲーム体験が平凡。

武器だけでも多様なバリエーションがあれば、敵やオブジェの状況を見て立ち回りをいろいろ工夫できそうだったのに、選択肢が少ないから被弾しないよう誰彼構わず手あたり次第ぶっ飛ばすのが正解になってしまっている。アクションとしてはそれなりだがローグライクとしては残念賞。

ScreenShot

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