【メモオフ】メモリーズオフ ゆびきりの記憶【7作目】

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『メモリーズオフ』のシリーズ7作目。

  • 特徴は例によってまた記憶喪失系の主人公と幼馴染
  • 以下EDを見た順番

1.おりひめ

体は小さいけど芯が大きい先生。会う回数が増えていくにつれて関係が深まる過程からの浮き沈みは自然で入り込みやすく、所々に視点変更での独白もあり感情移入と読みやすさを助けてくれる。友人以上恋人未満からの転換イベントでの先生の言葉「天川さんが居るあなたはどうなのよ!」と叫ぶ場面は、急接近でなく次第に歩み寄っての関係だからこそ真に迫った言葉になり、今までなら気にもならなかった所で生まれた嫉妬を認めて立場的な葛藤をも超えた嘘の無い本音を出してくれるので、先生のキャラクター性や存在がこれでもかと印象に残り、好感度が右肩上がりになるキッカケとなった

主人公は自分のことを棚に上げて先生を自分勝手な理由で非難してしまったことを反省して、復縁の口実づくりなどでなく、これが原因でちなつとの絶縁になったとしてもかまわないぐらいの心構えで遅ればせながら関係を清算することを決意するが、結局有耶無耶になる。従来の主人公ならウンザリする所だが、この主人公はちなつと十年近く一緒に暮らした家族(いとこ)という絆がある。ちなつを傷つけようものなら捨てられた自分を拾って育ててくれた恩人である叔父夫妻にも申し訳が立たない。恋愛の感情云々は元からなくても、家族としての絆が壊れてしまう恐怖が一歩を踏み出せなくする気持ちもわからないでもない。というかスパっと行動できる方がおかしい。罪悪感はあっても事が起こるまで何もしなかった優柔不断だけど、個人的には恋愛だけでない情の深さが見えて良いシーンだったように思う。だからこそどうやって決着させるのかに期待が膨らんでいったのに事件が起きてこれまた有耶無耶となる。今後先生との関係がうまくいったとしても、ちなつとの関係を整理して新しい道をつくっておかないときまりは良くない。シナリオは修羅場止まりで強引に〆てるから残念だった。キャラクターは、先生という人物像が終始可愛らしく描かれていて、日常会話のやり取りからエンディングまで一貫したらしさが出せていて魅力は抜群。そこは満点、文句なし。シリーズで一番の好感度。

2.しいな

展開と結末が見え見えなのに、主人公を病的鈍感にして冗長な間延びをさせる。こんなのはもう読みたくない。ちなつを退場させて出番をなくすやり方もどうか。設定にケチがつくだけ。このルートはトールサンかっこいいだけが見どころ。

3.リサ

希望を少し持たせて終わり。
短くまとまってたけど、それだけ。無難。

4.かすみ

脅されても金を盗られても窃盗をくらっても、ヘラヘラして許すわ救いの手を差し伸べる聖人君子な主人公が生理的に嫌だった。一緒にいる時間が長くなるにつれて情が移るように描かれているならわかるが、大抵の人間が不快感を示す事でも初っ端からこんな対応だから人間味が感じられず気色悪い。強引に指切りをして「俺はこの約束を守るからな? 絶対だぞ! 困ったら言えよ!」という押し付けも気持ち悪い。実際に守ってる事実は評価できるすごいことだけど。
かすみの世話を焼く理由なんて無いのに、探しているらしい探し物に付き合うと強引に決めたら、それが何なのか気になって気になって、かすみのために自分は何が出来るのかを考えて考えて、気が付けば他のことに手が回らず学校でもバイトでも失敗の連続とか、入れ込み具合も感情の浮き沈みも激しすぎて気持ち悪さに拍車をかける。その探し物が見つかればあなたも後悔するということは自分との関係も明白なのに、相手が話したがらないと判断すると何も聞かない。「どうせ答えてはくれないだろう」と早々に諦めて終わり。指切りまでは強引なのに踏み込むところまで行くとなぜか二の足を踏む中途半端糞野郎。そんな相手でも慈愛に満ちたしたり顔で合鍵まで渡してしまう主人公の人間性がとにかく気持ち悪かった。自己陶酔の極致。

シナリオも大変なご都合主義。事情を知らない亨がバイト先で「大輔はどこで何しているんだ」などと言っても不思議じゃないのに何も言わないし、主人公がかすみと幼馴染で一緒に遊んでいた云々の話を持ち出さないのも不自然。ずっと同じ地域に住んでいる周囲の人間が事実を知らないってのも不自然。学校等で突如同級生が別の同級生の名前に変えて受け入れられるものなのか。芹沢本家というところは村八分の音頭をとれるくらいの強大な影響力があるのだろうか。それにしては具体的な存在が描かれないまま問題の根本という重要なポジションを担わされているから、関連事項の大抵がこのようなツッコミどころになってしまう。本家から逃げて逃避行をするかどうかまで追い込まれた状況や、ちなつを選べばかすみが苦しみ、かかすを選べばちなつが苦しむという二者択一のジレンマも“なぜか”即座に解決しちゃうし、最後をきれいにまとめてサヨナラホームランにしたかったんだろうけど、その前にコールド負けしてた。諸悪の根源である本家の存在を曖昧にしたら物語が成り立たないでしょうよ。

5.ちなつ

かすみと同様なジレンマで散々煽っておいたくせに、唐突に解決策を確定させたかと思えば、これまた唐突に転んだだけで記憶が戻って綺麗に落とすから、釈然としないもやもやしたご都合主義な余韻だけが残った。このルートでも本家さんは存在感の無い道化師だから、猶予の無い差し迫った場面の緊迫感や説得力が見えない。そんなのに面白いように振り回された挙句、なあなあで綺麗に解決する気の抜けた大団円が面白いわけない。その存在をろくに描かずに本家の設定を都合よく利用し過ぎていて整合性や辻褄が大して考慮されていない。きちんとまとめる気が無いのなら風呂敷は広げないでほしい。

まとめ

扱いきれない設定を入れたがるのはなぜなのか。
残念賞。

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