【メモオフ】メモリーズオフ2nd【2作目】

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メモリーズオフの2作目。

テキストを読んで選択肢を選ぶギャルゲー『メモリーズオフ』の次作。
今作の物語の特徴としては、主人公に最初から「ほたる」という恋人がいて、他ヒロインのルートに入ると別れることになるという点。

ずっと続けていたサッカー部を引退して生きがいや目的を失なっている主人公は、サッカー以外に積極的に自分からなにかを起こすことに困惑して宙ぶらりんになっている。
方や恋人のほたるは天才の異名を持つピアニストの卵で、近々開催されるコンクールに入賞すればピアニストへの道が開けるとあって焦りや不安は増す一方。
人なら誰でも深層では抱いている嫉妬や劣等感などの心情を絡ませた展開の中、新しい出会いやほたるとのイベントを経て自分の本当の想いを見つけていくというプロローグ。

印象付けの弱さと主人公に難あり

この類いの物語は、沢山の喜怒哀楽を共にする過程を描くことで登場人物の存在を読み手の心に印象付け、後の展開によって様々な感情が揺さぶられて楽しめるものだと思う。
このゲームの最初から恋人がいるという特徴は、別れや三角関係イベントのための演出用としてしか使われていないから違和感につながる
その思いを払しょくできなかった理由は、ほたるとの関係を深く印象付ける序盤のプロローグが薄く、出会いの切っ掛けや二人が写る待ち受け画像の思い出を描く程度で済まされていて、主人公とほたるの関係が恋人であるという説得力が非常に弱い点に尽きる。
そのため途中途中に主人公が葛藤の独白で吐露するほたるに対する好きという感情も本音には見えないし、仮にもそのような感情を抱いている恋人がいるのも関わらず、アッサリ心移りする理由も納得させる説得力に欠けて感情移入ができなかった。

主人公の性格も、別れの際のケジメをつけることが遅すぎたり、ほたるの優しさに甘えたり、言い訳がましい自己弁護もちらほら見えるから印象が悪い。
ほかの相手には超積極的お節介で首を突っ込むのに、ほたるとの恋愛になると途端に優柔不断になりすれ違いを生む、別れイベントを特徴とするゲームの演出のために作られた存在。作為的なものや、嘘や、予定調和だらけの、読めば読むほど丸ボタンを押す間隔が短くなるラブストーリー。主人公が悪い。

EDを見た順の感想

1.しずる

ほたるの姉。
このルートに限ったことではないけど主人公のほたるに対する気持ちがよくわからないから見ていてはがゆい。別れのケジメにオルゴールを渡すというのも意味が分からないから、非難されないように先手を打った口実づくりにしか見えなかった。
大好きなほたるやしずるさんを傷つけたくないという意味合いの独白を頻繁にするけど、主人公が何もしない事でもうすでにしずるまで散々傷つけまくっているわけで。なぜそれがわからないのか。自惚れるのもいい加減にしなさい。

ほたるの言葉を引用すると「主人公が居るだけで幸せになれる」らしいが、この男のどこにそんな魅力を感じているのか分からない。渦中の中心人物で全ての元凶なのに訳の分からないウジウジで流れをせき止めて周囲を泥沼に巻き込む主人公にしか見えなかった。

2.めぐみ

性格がころころ入れ替わる子。
知り合ったばかりのめぐみの性格云々に対してはウルトラお節介で踏み込んでいくが、恋人であるほたるに対しては逃げて逃げて問題を先延ばしにする主人公の二面性のほうが目立っている他人の心の病について本で情報を得る前に自分の心をなんとかしましょう
ほたるにそこを指摘されるとしどろもどろになり、はっきりとしない態度で逃げとおす。そのあとで「僕は希ちゃんが好きなんだろうか」という定番の自問をしても言い訳を作って逃げまくる。ほたるとの押し問答で逃げ道がなくなったら「お前も別のやつと歩いてたろう」と逆に攻撃してしまう有様。優先事項の処理能力が絶望的なポンコツで、その都度に言い訳をつくって逃げ回る。逃げられないと分かると逆切れする。これが主人公でいいのだろうか。
肝心のシナリオも、双子のネタバラシからの展開が唐突すぎて説明もないから支離滅裂のひと言。踏切の音が聞こえただけでなぜそこに相手がいると思えるのか疑問だし、なぜそこに行ったのかも甚だ疑問。希望という人が誰なのかもわからない。これはひどい。

3.つばめ

電波先生。
唯一の拠り所を破壊することで未練を断ち切りサヨナラするというBADは、物語として筋が通っていてようやく読めるシナリオに出会えた気がする。だけど基本が電波だからなんともはや。要領を得ない話をするキャラはどうにも好きになれない。

4.たかの

ツン要員。
たかのからの質問に対して「ほたるに恋はしていない」と答えた点は、ようやくハッキリとした態度を見せたことで評価してあげたのに、その後の自問で「ぼくはほたるが好きなんだろうか」と当然のごとくとぼけちゃて、何を思ったかほたるとの関係の清算ではなく突然たかのに告白をする。当然うまくいくはずもなく扱き下ろされて悲しみに沈み「どうしてこんなことになってしまったのだろう?」とぽつりと漏らす。

脳をゆすげ!脳を! 仮にもそんな行動力を持ち合わせているのなら、再三再四頭を悩ませるほたるとの関係に向ければいいだけなのに、何故だか分からないがこのルートでも何もしない。自分が他に気を取られていたことが原因のすれ違いなのに結局別れはほたるから言わせる。一体この主人公はほたるをどうしたかったのかまるで見えてこない。葛藤してる振りをして表面上のいい子ぶりっ子を取り繕い安全地帯に引きこもる。芯がまるで見えないから恋人がいる前提の設定が完全に死んでいる

たかのをしつこく追い回すしか能のない主人公にとっての「都合の良い結末が約束された物語」が読んでいて愉快なはずがないわけで。たかののシナリオは親子のわだかまりが解消されてトゲが消え素直になっていく定番ものだけど、たかのも主人公も言葉に食い違いが多くてこちらが素直になれなくなった。読むのに疲れたから残りの2人はそのうち……。

まとめ

最初から恋人がいる設定が二人の関係の掘り下げ不足で常に違和感をまとう。好かれる理由がまったく見えてこない主人公も全面的にダメ。ほたる以外に対しての熱の入れ方が突拍子もなく作為的過ぎて言動に納得がいかない。三角関係の展開を入れたいがための操り人形だった。超人にしろとは言わないけど、せめて人並みにはしてください。

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